時間:10:00~18:00
(初日13時から、最終日16時迄)
活動と展覧会について
「耕/たがへし」は2024年夏に発足し、以降「紙と膠」の二つを根底に据えて『耕/たがへし』フィールドワーク活動「絵画素材実習」を行っています。
この「絵画素材実習」は単なる画材研究ではなく、自らが創作のために手にする素材づくりの現場へ赴き、素材の特性の知見を深め、さらにその源流に触れることによって見えてくる人の暮らし、気候風土、営み、文化、信仰と真摯に向き合いながら自身の藝術と表現について問うことを目的としています。素材に関わる人たちのコミュニティの中で共に手を動かすという身体的な行為は、私たちにとってあたかも写生や素描をするような実感をともなう体験となっています。
第一回となる本展では「大子那須楮から」と掲げ、本美濃紙(岐阜県)や越前生漉奉書(福井県)の原料になる大子那須楮(茨城県久慈郡大子町)の楮の芽掻きから始まった「絵画素材実習」の一端を紹介しつつ、「絵画素材実習」や勉強会で各々が得たことを踏まえた絵画制作を行い、展覧します。尚、絵画作品は、岐阜県の美濃竹紙工房さんより提供いただいた本美濃紙と、兵庫県の大崎商店 大崎哲生さんより提供いただいた膠を使用しています。
私たち『耕/たがへし』は、今後も現場を通じた様々な事象とコミットしながら活動を行います。
『耕/たがへし』諸言(抜粋)
「耕し(たがえし)」のやまと言葉である「たがへし」。この「耕し(たがヘし)」は「田返し(たかへし)」、つまり田畑の土を掘り返す動詞「田返す(たかへす)」を由来とし、やがて「耕す(たがやす)」という言葉になったという。
「芸」の旧字体「藝」は生物の苗を植えている様子を表す。ゆえに、“種を蒔くことでいずれ花開く”という語源の「芸術」もまた「耕す」ことから切り離すことはできない。もとより私たち描き手の用いる紙、筆、墨なども「耕す」ことによる産物だ。
私たちは描き手である前に一人の人間でもある。私たちの日々の暮らし、人間としての営みがあり、そして芸術がある。「耕す」を見つめることで、現代に生きる私たち人間の在るべき姿、さらにはものごとの本質を問い続けたい。
この問う姿勢が、逆説的に私たち一人一人の求める「藝」術と成すべく。
耕/たがへし 代表 金子 朋樹
耕/たがへしメンバー
伊藤 みさき、漆原 夏樹、大山 龍顕、金子 朋樹、楚里 勇己、長澤 耕平、福田 彩乃、藤田 飛鳥、藤本 桃子、星 和真
主催:耕/たがへし
協力:小津和紙 (株)小津商店
大子那須楮保存会 齋藤邦彦
美濃竹紙工房(本美濃紙提供)
大﨑商店 大﨑哲生(膠提供)